急な欠員やプロジェクトの拡大で「すぐにでも人材が必要だ」と感じたとき、人材派遣は非常に有効な選択肢です。しかし、その一方で「費用はどれくらいかかるのか?」「提示された料金は適正なのだろうか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。人材派遣の費用は、単にスタッフの給与だけでなく、社会保険料や派遣会社の経費など、様々な要素で構成されています。この仕組みを正しく理解しないままでは、気づかぬうちにコストが膨らんでしまう可能性もあります。
この記事では、人材派遣の費用が決まる仕組みから、厚生労働省の最新データに基づいた職種別の費用相場、そして費用を賢く抑えるための具体的なコツまで、網羅的に解説します。最後までお読みいただくことで、自社の状況に最適な人材を、適正なコストで確保するための知識が身につきます。
目次
人材派遣の費用が決まる仕組みとは?
人材派遣の利用を検討する上で、まず理解すべきなのが「派遣料金」がどのように決まるかという仕組みです。派遣先企業が派遣会社に支払うこの料金には、派遣スタッフの給与だけでなく、様々な費用が含まれています。ここでは、その計算方法や内訳について詳しく見ていきましょう。
派遣会社に支払う「派遣料金」の計算方法
人材派遣で毎月発生する費用は、一般的に以下の計算式で算出されます。
派遣料金 = 請求単価(時間給) × 実働時間 + 消費税
例えば、請求単価が2,500円のスタッフが1ヶ月に160時間(1日8時間×20日)勤務した場合、月額の派遣料金は400,000円(税抜)税込みでは440,000円となります。基本的に、採用活動に伴う初期費用や成功報酬は発生しません。費用は派遣スタッフが実際に就業を開始した時点から、稼働時間に応じて発生するため、予算管理がしやすいというメリットがあります。
派遣料金に含まれる費用の内訳
派遣料金は、大きく分けて「派遣スタッフの賃金」と、派遣会社の運営経費などである「マージン」で構成されています。一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると、派遣料金の内訳のおおよその割合は以下のようになっています。
| 費用項目 | 割合(目安) | 内容 |
| 派遣スタッフの賃金 | 約70% | 派遣スタッフに直接支払われる給与です。 |
| 社会保険料 | 約11% | 派遣会社が負担する健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の費用です。 |
| 有給休暇費用 | 約4% | 派遣スタッフが有給休暇を取得した際の賃金に充当される費用です。 |
| 諸経費・営業利益 | 約15% | 募集採用費、教育研修費、福利厚生費、営業担当者の人件費、そして派遣会社の利益などが含まれます。 |
このように、派遣料金にはスタッフの給与以外に、雇用主である派遣会社が負担すべき様々な費用が含まれていることがわかります。
参考:一般社団法人日本人材派遣協会「市場動向レポート2024年5月」
派遣会社の利益となる「マージン率」について
マージン率とは、派遣料金全体に占めるマージン(派遣スタッフの賃金以外の部分)の割合を示す指標です。計算式は以下の通りです。
マージン率(%) = (派遣料金−派遣スタッフの賃金) ÷ 派遣料金 × 100
マージン率は労働者派遣法によって公開が義務付けられており、派遣会社のウェブサイトなどで確認できます。マージン率が極端に低い場合、派遣スタッフへの教育研修やサポートが不十分である可能性も考えられます。料金の安さだけでなく、マージンがどのように活用されているかという視点で、派遣会社のサービス品質を見極めることが重要です。
【2025年最新】職種別人材派遣の費用相場
人材派遣の料金は、職種や求められるスキルの専門性によって大きく変動します。ここでは、厚生労働省が発表した「令和5年度労働者派遣事業報告書の集計結果」を基に、職種ごとの1日(8時間勤務)あたりの派遣料金の平均額を紹介します。
| 職種カテゴリ | 主な職種 | 派遣料金の相場(1日8時間あたり) |
| 一般事務 | 一般事務、営業事務、経理事務 | 17,145円 |
| 情報処理・通信 | SE、プログラマー、インフラエンジニア | 30,445円 |
| 製品製造・加工処理 | 製品製造、加工、梱包、検品 | 17,824円 |
| 営業 | 営業、販売員、接客 | 23,652円 |
事務職・オフィスワーク系の費用相場
一般事務や営業事務などのオフィスワーク系は、多くの企業でニーズがあり、派遣市場でも安定した人気があります。1日あたりの平均派遣料金は17,145円です。高度なPCスキル(Excelマクロなど)や語学力が求められる場合は、相場よりも高くなる傾向があります。
ITエンジニア・技術職の費用相場
ITエンジニアや通信技術者は、専門性の高さと人材不足を背景に、全職種の中で最も費用相場が高くなっています。1日あたりの平均派遣料金は30,445円です。特に、プロジェクトマネジメント経験者や特定のプログラミング言語に精通した人材の場合、さらに高額になることも珍しくありません。
製造・軽作業系の費用相場
工場のライン作業や倉庫でのピッキング、梱包といった製造・軽作業系の職種は、未経験からでも始めやすい業務が多いため、比較的費用が抑えられています。1日あたりの平均派遣料金は17,824円です。フォークリフトの資格が必要な場合や、深夜勤務が含まれる場合は追加料金が発生します。
営業・販売職の費用相場
営業やアパレル・雑貨などの販売職では、コミュニケーション能力や実務経験が重視されます。1日あたりの平均派遣料金は23,652円です。特に法人営業の経験者や、高い販売実績を持つ人材は、相場よりも高めに設定されることがあります。
人材派遣と直接雇用のコストを比較
「派遣料金は、直接雇用の給与より割高に見える」と感じる方も多いかもしれません。しかし、人件費を比較する際は、表面的な金額だけでなく、目に見えないコストまで含めた「トータルコスト」で判断することが重要です。
派遣料金には採用や労務管理コストも含まれる
正社員やアルバイトを直接雇用する場合、給与以外にも様々な費用が発生します。求人広告費や採用担当者の人件費、給与計算や社会保険の手続きといった労務管理コストなどです。特に社会保険料は、会社負担分として給与の約15%前後が別途必要になります。
一方で、人材派遣の料金には、これらの採用コストや労務管理コストがすべて含まれています。派遣会社が採用から雇用管理までを一手に引き受けるため、自社の採用・労務担当者の負担を大幅に軽減できるのです。
| 比較項目 | 直接雇用(正社員・アルバイト) | 人材派遣 |
| 採用コスト | 別途発生(求人広告費など) | 派遣料金に含まれる |
| 労務管理コスト | 別途発生(給与計算、社会保険手続き) | 派遣料金に含まれる |
| 社会保険料(会社負担分) | 給与とは別に企業が負担 | 派遣料金に含まれる |
| 福利厚生・教育研修費 | 企業が負担 | 派遣料金に含まれる |
トータルコストで費用対効果を判断する
このように、人材派遣は採用や管理の手間を削減できる点を考慮すると、一概に割高とは言えません。自社の状況に合わせて、採用にかかる時間や手間、管理コストまで含めたトータルコストで、どちらが最適かを判断することが大切です。
人材派遣の費用を安く抑える4つのコツ
人材派遣を有効活用するためには、コストを適切に管理することが不可欠です。ここでは、派遣料金を抑えながらも、質の高い人材を確保するための4つの実践的なコツを紹介します。
複数の派遣会社から見積もりを取る
同じ業務内容で依頼しても、派遣会社によって料金設定は異なります。まずは2社以上の派遣会社から見積もりを取り、料金を比較検討しましょう。その際、単に金額の安さだけでなく、紹介される人材の質や、営業担当者のサポート体制なども含めて総合的に判断することが重要です。
求めるスキルや条件を明確化する
費用を抑える上で最も効果的な方法の一つが、依頼する業務内容と求めるスキルを明確にすることです。必要以上に高いスキルを求めると、該当する人材が少なくなり、必然的に料金は高騰します。「必須のスキル(Must)」と「あれば尚可のスキル(Want)」を切り分け、過剰な要件を設定しないことがコストコントロールの鍵となります。長期契約や複数名の依頼を検討する長期契約や複数名の依頼を検討する
長期契約や複数名の依頼を検討する
派遣会社との交渉において、長期的な契約や複数名の同時依頼は有効な材料となることがあります。派遣会社側も安定した取引が見込めるため、単価の割引に応じてもらえる可能性があります。人員計画が明確な場合は、事前に相談してみましょう。
残業が発生しないよう業務管理を徹底する
派遣スタッフの残業代は、労働基準法に基づき割増料金(通常時給の1.25倍以上)が発生します。日常的に残業が発生している場合、想定以上にコストが膨らむ原因となります。業務の優先順位を見直し、時間内に作業が終わるように適切に業務を割り振るなど、残業が発生しない体制を整えましょう。
失敗しない人材派遣会社の選び方
適切な費用で質の高いサービスを受けるためには、信頼できるパートナーとなる人材派遣会社を選ぶことが何よりも重要です。ここでは、会社選定の際に確認すべき3つのポイントを解説します。
料金体系の透明性を確認する
見積もりを依頼した際に、料金の内訳やマージン率について明確な説明があるかを確認しましょう。こちらの質問に対して誠実に回答し、透明性の高い情報を提供してくれる会社は信頼できるパートナーとなり得ます。ウェブサイトなどでマージン率や教育訓練に関する情報がきちんと公開されているかもチェックポイントです。
自社の業界や職種に強みがあるか確認する
人材派遣会社には、それぞれ得意とする業界や職種があります。例えば、ITエンジニアを求めているならIT業界に特化した派遣会社、製造スタッフを探しているなら製造業に強い派遣会社を選ぶのが得策です。その分野に精通した担当者がいることで、業務内容への理解が深まり、より的確な人材をスピーディーに紹介してもらえる可能性が高まります。
派遣スタッフへのサポート体制を確認する
派遣会社が派遣スタッフに対してどのようなサポートを行っているかも重要な選定基準です。定期的な面談やキャリアアップのための研修、資格取得支援などが充実している会社は、スタッフの定着率やモチベーションが高く、結果として質の高いサービスにつながります。営業担当者が派遣先とスタッフの間を円滑につなぎ、問題発生時に迅速に対応してくれるかどうかも見極めましょう。
株式会社アンティでは、スタッフ一人ひとりが輝ける環境づくりを最も大切にしています。その充実したサポート体制が、高い定着率とお客様からの信頼に繋がっています。アンティが選ばれる理由を、ぜひ下記よりご覧ください。
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まとめ
本記事では、人材派遣の費用が決まる仕組み、職種別の最新相場、そしてコストを抑えながら効果的に活用するためのポイントを解説しました。
人材派遣の費用は、単なる時給ではなく、採用や労務管理のコストまで含まれた包括的な価格です。この構造を理解し、自社に必要なスキルを明確にした上で、信頼できる派遣会社と連携することが、コストを最適化し、事業の成長を加速させる人材を確保する鍵となります。
この記事で得た知識を活用し、ぜひ貴社にとって最適な人材派遣の活用を実現してください。