燃料費や人件費の上昇、ドライバー不足などを背景に、配送コストの削減は多くの企業にとって重要な課題になっています。
運送会社との価格交渉や配送回数の調整など、さまざまな対策を行っているものの、「思うように配送コストが下がらない」と感じている物流・購買担当者の方も多いのではないでしょうか。
配送コストが高止まりしている場合、問題は個別の運賃や節約方法ではなく、現在採用している輸送方法そのもののコスト構造にある可能性があります。
特にチャーター便や自社配送を中心に運用している場合、積載率が低くてもドライバーや車両などの固定的なコストが発生します。
そこで本記事では、自社の配送コストのどこに問題があるのかを整理したうえで、路線便・混載便・3PLなどへの切り替えを検討する際のポイントについて解説します。
目次
配送コストが高止まりする原因はどこにあるか

運送会社と価格交渉を行っても期待通りにコストが下がらない場合、個別の単価ではなく、採用している輸送の仕組み自体に構造的な課題が潜んでいるケースが少なくありません。ここでは、昨今の物流業界を取り巻く環境変化と、輸送方法ごとに異なるコスト構造について詳しく解説します。
2024年問題後に固定費が上昇し続ける構造
物流業界では2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働について年間960時間の上限規制が適用されています。
こうした環境変化が、荷主企業の配送コストにも影響しています。ドライバー確保に伴う人件費の上昇、チャーター便や傭車の運賃上昇、長距離輸送を担う車両の確保難、中継輸送などの新たな輸送工程の発生が挙げられます。
国土交通省は2024年3月、トラックの「標準的運賃」の運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価などを加算する見直しを行っています。
そのため、「運送会社と交渉して単価を下げる」という従来型の削減方法だけでは限界があります。配送コストが継続的に上昇している企業では、単価ではなく輸送方法そのものを見直すことも選択肢になるでしょう。
内製チャーター・路線便・混載便・3PLのコスト構造の違い
配送方法によって、コストが発生する仕組みは異なります。
【内製配送・チャーター便】
自社車両や専属車両を確保できるため、時間や配送ルートの自由度が高い方法です。一方、自社配送ではドライバーの人件費、社会保険料、車両リース料、保険料、整備費などが発生します。また、チャーター便では車両1台単位で料金が発生することが多いため、積載率が低い場合には荷物1件あたりの配送コストが高くなります。
【路線便】
複数の荷主の荷物を拠点間で輸送する方法で、重量・サイズ・距離などをもとに料金が設定されます。小口の商品を複数の配送先へ送る場合に利用しやすい一方、大型貨物や配送条件によってはコスト削減の効果がが出にくいケースもあります。
【混載便】
1台のトラックに複数企業の荷物を積み合わせて輸送する方法です。自社の荷物だけで車両を占有しないため、チャーター便よりも配送コストを抑えられる可能性があります。一方、積み合わせや中継が発生するため、配送条件によってはリードタイムが長くなることがあります。
【3PL】
物流業務の一部または全体を物流事業者へ委託する方法です。輸送だけでなく、入出荷、仕分け、ピッキング、梱包、流通加工などを含めて設計することで、自社で抱えていた物流業務を変動費化できる可能性があります。
どの方法が適しているかは、荷物の量、配送頻度、配送エリア、荷姿、求められるリードタイムなどによって異なります。重要なのは、単純な運賃比較ではなく、自社の物流条件に合った輸送方法を選択することです。
配送コストの外注切り替えを検討すべきサインとは

現在の配送方法が自社の物流条件に合っていない場合、コストの高止まりや業務負担の増加として、さまざまな形で「見直しのサイン」が現れます。ここでは、物流体制の再構築を検討すべき具体的なチェックポイントや、外注化によってメリットを得やすい企業の特徴を整理します。
自社の配送コストを見直すべき数字上のチェックポイント
「月次の配送費が高止まりしている」「チャーター便の積載率が低い」「傭車単価の上昇によって予算設計が崩れている」「配送管理の工数が増えている」といった状況が続いている場合は、現在の配送方法を見直すタイミングかもしれません。
「配送費÷売上高」などの指標を継続して確認すると、配送コストの変化を把握しやすくなります。また、トラックの荷台に空きスペースが多い状態でチャーター便を運行している場合、空いているスペースにも実質的なコストを支払っていることになるため、どれぐらいの空きスペースがあるかの追跡や計測も重要です。。
また、配送コストは運賃だけではありません。車両手配、配送先との時間調整、ドライバー管理、トラブル対応、請求確認などを自社で行っている場合、それらを担当する従業員の時間も物流コストの一部です。
こうした状況が複数重なっている場合には、個別のコスト削減だけでなく、物流の仕組み自体を見直す段階に入っている可能性があります。
切り替えに向いている企業の条件
路線便・混載便・3PLなどへの切り替えによって効果が出やすいのは、1便あたりの荷量が少なくチャーター便の積載率が低い、配送先が広域に分散している、必ずしも当日配送である必要がない、季節によって出荷量の変動が大きい、繁忙期だけ車両や人員を追加している、配送手配や管理業務の負担が大きい、といったケースです。
一方で、当日配送が必須、特殊な時間指定がある、精密機器など厳格な荷姿管理が必要、特殊な車両や配送ルートが必要、といったケースでは単純な切り替えが難しい場合があります。
すべての配送を一度に変更する必要はありません。「一部エリアだけ混載便へ変更する」「定期配送はチャーターを維持し、小口配送だけ路線便へ切り替える」といった部分的な外注化も検討できます。
路線便・混載便・3PLに切り替えたときのコスト変化

自社配送やチャーター便を中心とした運用から、外部の輸送ネットワークや物流サービスへ切り替えることで、コストの内訳や発生の仕組みは大きく変わります。ここでは、路線便・混載便を利用した場合の具体的なコストメリットや、3PLを導入して物流業務全体を外注した際の変化について見ていきましょう。
内製チャーターから路線便・混載便に切り替えたときの変化
自社配送を外部の路線便・混載便へ切り替えた場合、ドライバー人件費、社会保険料、車両リース費、保険料、整備費など、自社で車両を維持するためのコストを削減できる可能性があります。
チャーター便から混載便へ切り替える場合も、荷物が少ない日に車両1台分の費用を負担する必要がなくなるため、積載率が低い企業ほどメリットが出やすくなるでしょう。
一方、路線便や混載便では集荷・配送時間の自由度が下がる場合があります。積み替えに対応した梱包への変更や、輸送中の破損リスクを考慮した荷姿の見直しが必要になるケースもあります。
そのため、単純な運賃比較ではなく、自社の輸送量・配送エリア・荷姿・納期条件を提示したうえで見積もりを比較することが重要です。
3PLに外注したときに固定費はどう変わるか
3PLを活用する場合は、配送だけでなく物流業務全体を見直すことができます。自社で行っていた車両手配、配送管理、仕分け、出荷準備などを外部へ委託することで、複数の固定的なコストを委託費としてまとめられる可能性があります。
特に季節による出荷量の変動が大きい企業では、自社で繁忙期に合わせた人員や設備を常時抱える必要がなくなる点もメリットです。
3PLは、単純な運賃削減だけでなく、物流管理業務の削減や物流品質の安定化まで含めて検討する施策といえます。ただし、実際の費用は荷量、配送エリア、荷姿、作業内容などによって大きく変わります。
千里運輸グループ(アンティ)の配送・物流外注対応について
配送コストの構造を見直す際には、単に運送会社を変更するだけでなく、出荷工程を含めて物流全体を整理する方法もあります。
千里運輸グループのアンティでは、仕分け・ピッキング・梱包・流通加工・出荷までワンストップで対応しています。輸送だけを切り離して考えるのではなく、出荷前工程から物流を組み直すことで、チャーター便の使い方や出荷方法そのものを見直すことが可能です。
また、現場管理者を配置した運営体制やISO9001認証に基づく品質管理を行っており、人材部門との連携によって繁忙期の増員にも対応しています。
大阪・愛知の2拠点を中心に、関西・東海エリアの物流業務に対応。流通加工・倉庫内作業について35年以上にわたり培ってきたノウハウを活かし、企業ごとの物流条件に合わせた運用を検討しています。
「現在のチャーター便を見直したい」「配送だけでなく出荷作業も含めて効率化したい」といった場合は、現在の物流フローを整理するところからご相談いただけます。
まとめ
配送コストが高止まりしている場合、運送会社との価格交渉や細かな節約だけでは十分な効果が得られないことがあります。
重要なのは、現在の輸送方法が自社の荷量・配送頻度・配送エリア・リードタイムに合っているかを確認することです。
特にチャーター便の積載率が低い、傭車単価が上昇している、繁忙期と閑散期の差が大きい、配送管理に多くの工数がかかっているといった場合には、路線便・混載便・3PLへの切り替えを検討する余地があります。
すべてを一度に変更する必要はありません。まず現在の配送コストを可視化し、効果が期待できるエリアや配送から段階的に見直す方法もあります。
千里運輸グループ(アンティ)では、配送だけでなく、保管・仕分け・ピッキング・梱包・流通加工・出荷まで含めた物流業務の見直しに対応しています。
「自社の配送方法を見直した場合、どの程度効率化できるのか知りたい」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。
