製造業が外国人労働者を雇用するメリットとは?在留資格の種類や注意点まで徹底解説

製造業が外国人労働者を雇用するメリットとは?在留資格の種類や注意点まで徹底解説

「求人を出しても日本人の応募が全く来ない」「人が足りず生産計画に遅れが出そうで困っている」と悩んでいる製造業の担当者に向けて執筆しています。

この記事では、製造業で外国人労働者を受け入れるメリットや、必要な在留資格の種類、雇用時の注意点を解説します。読み終わると、自社で外国人材を採用するための具体的な検討事項が分かり、人手不足解消に向けた第一歩を踏み出せるようになります。

結論として、製造業における外国人雇用は、適切な在留資格の選択と入念な受け入れ体制の構築によって、長期的な人材確保の有効な手段となります。

製造業で外国人労働者の受け入れが増加している背景

日本の製造現場において、外国人労働者の姿を見かける機会が増えてきたと感じる方は多いのではないでしょうか。社会全体の構造的な変化が影響し、多くの企業が外国人材の受け入れに大きく舵を切っています。

ここでは、製造業を取り巻く労働環境の現状と、変化の背景にある要因を整理します。

項目概要
国内の労働力少子高齢化により生産年齢人口が減少し、採用難が続いている
外国人材の動向日本の製造業で働くことを希望する外国人が増加傾向にある
企業側の対応日本人採用のみにこだわらず、多様な人材の受け入れにシフトしている

日本の製造現場における深刻な人手不足

製造業の現場で人が足りないという切実な声をよく耳にします。少子高齢化の影響によって国内の生産年齢人口は減少を続けており、若年層の製造業離れも指摘されるようになりました。とくに地方の工場などでは、ハローワークに求人を出しても日本人の応募が集まりにくい状況が長く続いています。

厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめによれば、製造業で働く外国人労働者数は約63.5万人となっており、全体の産業のなかでも高い割合を占める結果となりました。

これは、多くの企業が日本人だけで労働力を確保することに限界を感じている証拠と言えます。人員不足を補う有力な選択肢として、外国人雇用の重要性は年々高まっています。したがって、今後の製造業において外国人労働者の存在はより身近なものになっていくと考えられます。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)|厚生労働省

【関連記事】製造業の人手不足はなぜ深刻?原因と影響、明日からできる対策を徹底解説|千里運輸オウンドメディア

日本で働く外国人から製造業が選ばれる理由

外国人労働者にとっても、日本の製造業は魅力的な就労先として認知されています。その理由のひとつは、製造現場での業務がマニュアル化されており、未経験からでも技術を習得しやすい環境が整っている点です。接客業のように高度な日本語能力が最初から求められないケースもあり、語学力に不安がある人材でも働き始めやすいという特徴があります。

また、日本の高い技術力や品質管理の手法を学びたいと考える意欲的な若者も少なくありません。母国に帰ったあとのキャリアアップを見据えて、日本の工場でしっかりと経験を積みたいというニーズが存在します。企業側が用意する寮や社宅などの生活サポートが充実していることも、安心感につながる要素となっています。このように、労働力を求める日本の企業と、技術や経験を得たい外国人の目的が合致していることが、製造業への就労を後押ししている大きな理由です。

【関連記事】製造業の派遣社員は未経験でも安心!仕事内容やメリット・デメリットを徹底解説|千里運輸オウンドメディア

製造業で外国人を雇用する主なメリット

外国人労働者を受け入れることは、単なる人員補充以上の効果を企業にもたらす可能性があります。実際に雇用を開始した企業からは、社内の雰囲気が良い方向に変わったという声も聞かれます。ここからは、製造業で外国人を雇用することによって得られる具体的なメリットを解説します。

メリットの分類企業にもたらされる具体的な変化
人材の確保若くて体力があり、学習意欲の高い労働力を長期間確保できる
組織の活性化異なる文化や価値観が持ち込まれ、職場の雰囲気が明るくなる
業務の改善指示の出し方やマニュアルを見直す契機になり、全体の効率が上がる

若くて学習意欲の高い人材を確保できる

外国人労働者を雇用する最大の利点のひとつは、意欲に溢れた若い人材を確保できることです。日本へ働きに来る外国人の多くは、20代から30代の若年層が中心となっています。

彼らは「日本の技術を学びたい」「家族のために稼ぎたい」といった明確な目的意識を持っている傾向があります。実務においても、新しい作業手順を素早く吸収し、真面目に仕事に取り組む姿勢が高く評価される場面が多いです。長期間にわたって安定した労働力を提供してくれる人材に育つ可能性も十分にあります。体力が必要な現場作業においても、若い力が加わることで生産体制の維持が容易になります。

意欲的な姿勢は周囲の従業員にも良い刺激を与え、職場全体の士気向上につながると期待できます。

参考:厚生労働省在留資格別×年齢別外国人労働者数の推移

組織内のコミュニケーション活性化と多様性の促進

異なる背景を持つ人材が加わることで、社内のコミュニケーションが活発になるという効果もあります。外国人材に業務を教える過程で、日本人従業員同士の対話や連携が自然と増えるケースが珍しくありません。「どうすれば分かりやすく伝わるか」を工夫するようになり、教える側のスキルも向上します。

また、当たり前だと思っていた業務プロセスに新しい視点からの疑問が投げかけられ、業務改善のヒントが見つかることもあります。暗黙の了解で行われていた作業を改めてマニュアル化することで、結果的に誰にとっても働きやすい環境が整備されます。多様な価値観を受け入れる組織風土が醸成されれば、将来的な事業展開の幅も広がる可能性があります。外国人雇用のプロセスは企業自体を成長させる良い機会になると言えます。

製造業で活用できる外国人労働者の在留資格

外国人が日本で働くためには、目的に応じた適切な在留資格(ビザ)を取得する必要があります。在留資格にはいくつかの種類があり、それぞれ従事できる業務内容や滞在期間が法律で厳格に定められています。

自社の採用目的に適した制度を選ぶための基礎知識を整理しましょう。

在留資格の名称主な目的従事できる業務の例
特定技能人手不足の解消と即戦力の確保機械加工、溶接、食品製造などの現場作業
技能実習国際貢献と母国への技術移転実習計画に基づいた工場内での各種作業
技術・人文知識・国際業務専門的な技術や知識を活かした就労設計、品質管理、海外取引などの専門的業務

現場作業の戦力として期待される特定技能

特定技能は、深刻な人手不足に対応するために2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。この資格を持つ人材は、分野ごとの技能評価試験と日本語能力試験への合格を通じて、一定の専門技能と日本語能力を有していることが確認されています。そのため、受け入れ後すぐに現場の即戦力として活躍することが期待される制度設計となっています。

出入国在留管理庁の資料によると、特定技能は「工業製品製造業分野」(旧称:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)や「飲食料品製造業分野」など、製造業の幅広い領域を対象としています。工業製品製造業分野には機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理をはじめ、紙器・段ボール箱製造、印刷・製本、縫製など合計10の業務区分が設けられています。

特定技能1号では原則として通算5年間の就労が可能です。さらに、特定技能2号評価試験で一定以上の成績を収めるなど所定の要件を満たす場合には、例外的に通算6年まで延長が認められることもあります。さらに、より高度な技能を持つと認められれば、在留期間に上限のない「特定技能2号」への移行も視野に入ります。

企業にとっては、一定のスキルを持った人材を長期間にわたって雇用できる点が大きな魅力です。技能実習2号を良好に修了した外国人は、同一または関連する分野であれば技能評価試験と日本語試験の両方が免除されます。このルートを利用した特定技能への移行も広く活用されています。

参考:特定技能制度|出入国在留管理庁

【関連記事】特定技能「工業製品製造業」とは?受け入れ要件から採用の流れまで分かりやすく解説|千里運輸オウンドメディア

技術移転を目的とした技能実習と今後の動向

技能実習制度は、日本の技術や知識を開発途上国へ移転し、国際貢献を果たすことを目的としています。未経験の若者を受け入れ、働きながら技術を学んでもらう仕組みとなっています。製造業においては、機械加工や金属プレス、プラスチック成形など多くの職種が対象とされてきました。ただし、この制度はあくまで「実習」が目的であるため、企業側は作成した計画に沿って丁寧に指導を行う責任を負います。

また、2025年9月26日の閣議決定により、実態に合わせて「育成就労制度」という新しい枠組みへ移行することが決定しています。施行日は2027年4月1日と定められており、この新制度は人材確保と育成の両立を目指すものです。これから受け入れを検討する企業は、施行に向けた最新の動向を注視しておくことが重要です。

参考:出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」

高度な専門知識を持つ技術・人文知識・国際業務

現場での単純作業や実習ではなく、専門的な知識を活かした業務に従事するための在留資格もあります。それが「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」と呼ばれる資格です。取得にあたっては、大学や専門学校で専攻した内容と企業で行う業務内容に関連性があること、あるいは一定年数以上の実務経験を有していることが主な要件となります。なお、大学卒業者に対しては専攻と業務の関連性が比較的柔軟に判断される一方、専門学校卒業者に対してはより厳密な関連性が求められるなど、学歴の種類によって審査基準が異なる点にも注意が必要です。

製造業のなかでこの資格が活用されるのは、製品の機械設計やシステム開発、高度な品質管理といったエンジニア業務です。あるいは、海外の取引先との通訳や翻訳、輸出入業務などを担当する人材を採用する際にも用いられます。

この在留資格で認められる活動は「自然科学・人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務」等に限定されており、現場のライン作業に専従させることは在留資格の活動範囲外として認められていません。ただし、日本人社員と同様の研修プログラムの一環として一時的に現場業務に従事させることは、入管庁のガイドラインにおいて一定の条件のもと許容されています。いずれにせよ、業務の割り振りには細心の注意を払わなければなりません。

参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」|出入国在留管理庁

外国人労働者を雇用する際の注意点と対策

メリットが大きい一方で、文化や言語が異なる人材を受け入れることには特有の難しさも伴います。準備が不足したまま雇用をスタートさせると、現場でのトラブルや早期離職につながる恐れがあります。

ここでは、雇用にあたって企業が直面しやすい課題と、それを乗り越えるための具体的な対策を解説します。

日本語の壁によるコミュニケーション不足への対策

外国人労働者を雇用する際、多くの担当者が最初に心配するのが言葉の壁です。指示が正確に伝わらなかった結果、不良品の発生や作業の遅れを招いてしまうリスクが存在します。日常会話は問題なくできても、製造現場特有の専門用語や機械の名前を理解するには時間がかかります。

この問題に対処するためには、受け入れ側が「やさしい日本語」を使うよう意識を変えることが大切です。複雑な言い回しや曖昧な表現を避け、短い文章で結論から伝える工夫が求められます。重要な指示を出す際には、身振り手振りを交えたり、図解や写真を用いた視覚的なマニュアルを活用したりするのが効果的です。

スマートフォンの翻訳アプリなども積極的に現場へ導入し、双方がストレスなく意思疎通できる環境を整えていきましょう。

現場での安全教育と労働災害の防止策

製造業の現場では、機械の誤操作などが重大な事故に直結する危険性があります。日本語の理解が不十分な状態のまま現場に配置することは、労働災害のリスクを高める要因となりえます。日本人従業員以上に、安全教育には時間と手間をかける姿勢が求められます。

安全規則や機械の操作マニュアルは、可能な限り彼らの母国語に翻訳して配布することをおすすめします。一度説明しただけで理解できたと判断せず、実際の作業を見守りながら反復して指導を続ける根気強さが求められます。危険を知らせる掲示物にはイラストやピクトグラムを多用し、直感的に意味が伝わるようにする工夫も有効です。安全を最優先とする企業文化を丁寧に伝えることが、労働者自身の身を守り、ひいては企業の信頼を守ることにもつながっていきます。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 製造現場の人手不足解消の手段として外国人雇用が注目されています。
  • 若く意欲的な人材の確保や組織の活性化など多くのメリットがあります。
  • 自社の目的に合わせて特定技能や技能実習などの在留資格を適切に選ぶ必要があります。
  • 言語の壁や安全教育に対する事前の対策とサポート体制の構築が重要です。

外国人労働者の受け入れは、単なる労働力の穴埋めではなく、企業が多様性を持ち成長していくための前向きな挑戦となります。

製造業の人手不足解消には、千里運輸グループの株式会社アンティの人材総合サービスがおすすめです。外国人雇用に対応した専門部署を備え、特定技能人材の受け入れ支援を行っております。協同組合との連携により、外国人労働者の定着に向けた手厚いサポートが可能です。人材派遣や構内請負を通じ、企業様の課題に合わせた最適なプランをご提案いたします。詳しいサービス内容については、以下のリンク先ページから詳細をご確認いただけます。

派遣・業務請負・特手技能|株式会社アンティ(千里運輸グループ)


この記事を書いた人

アバター画像

千里運輸マーケティング戦略推進室

千里運輸グループでは、「流通・加工」「⼈材派遣」「倉庫」「輸送」に関する各種情報を発信し、物流業界に関わる皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしています。