食品倉庫とは?種類ごとの温度帯やアウトソーシングのメリットを解説

食品倉庫とは?種類ごとの温度帯やアウトソーシングのメリットを解説

食品の取り扱いにおいて、品質を維持しながら効率的に物流を回すための環境構築で悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、食品倉庫の種類や温度帯ごとの違いから、関連する法律、アウトソーシングの利点までを解説します。読み終わると、自社の商品に合った倉庫の選び方や、外部委託による課題解決のヒントが得られるようになります。

食品倉庫とは?役割と基礎知識

食品を安全な状態で保管するためには、専用の環境が求められます。ここでは、食品倉庫の基本的な役割や、一般的な倉庫との違いについて解説します。

比較項目食品倉庫一般倉庫
主な保管物加工食品、生鮮食品、飲料など日用品、アパレル、電化製品など
温度管理商品に応じた厳密な温度帯設定がある常温保管が基本となることが多い
衛生管理法令対応や異物混入対策が求められる基本的な清掃や防犯が中心となる

食品倉庫の定義と役割

食品倉庫とは、食品の品質を損なうことなく長期間保存するために、温度や湿度が適切に管理された物流施設を指します。消費者の手元へ安全に商品を届けるための拠点として、物流ネットワークの中で重要な機能を担う存在です。適切な保管環境を維持することで、商品の劣化やカビの発生などを未然に防ぐことができます。また、需要の変動に合わせて在庫を調整するバッファとしての役割も備えています。

一般倉庫との主な違い

一般的な倉庫が常温での保管を前提としているのに対し、食品倉庫は商品の特性に合わせたきめ細かな温度設定ができる設備を備えています。さらに、衛生管理の基準が厳しく設定されており、害虫や異物の混入を防ぐための密閉構造などが採用される傾向にあります。これにより、食品の安全性を担保しながら大量の在庫を抱えることが可能となります。

参考:厚生労働省「冷蔵倉庫業HACCP導入の手引書」

【関連記事】倉庫管理の基本とは?課題解決と効率化を実現する7つのポイントを解説|千里運輸オウンドメディア

食品倉庫の種類と温度帯

食品倉庫は、保管する商品の特性に合わせて複数の温度帯に分類されています。ここでは、それぞれの温度帯の特徴や、適している食品の種類について説明します。

倉庫の種類目安となる温度帯主な保管食品の例
常温倉庫温度調整なし(自然環境)缶詰、レトルト食品、調味料
定温倉庫10度から20度程度チョコレート、ワイン、米
冷蔵倉庫10度以下肉類、魚介類、乳製品、野菜
冷凍倉庫マイナス18度以下など冷凍食品、アイスクリーム

常温倉庫の保管温度と対象食品

常温倉庫は、特別な冷却設備を持たず、外気温に近い状態で商品を保管する施設です。温度変化による品質劣化が少ない商品に向いており、缶詰や瓶詰め、レトルト食品、一部の乾麺などが保管の対象となります。設備投資が少ない分、他の温度帯の倉庫と比較して保管コストを抑えやすい点が大きな特徴です。ただし、夏場の高温多湿な環境下では換気などの対策が求められる場合もあります。

定温倉庫の保管温度と対象食品

定温倉庫は、一年を通して10度から20度程度の一定温度を保つように設計された施設です。湿度も同時にコントロールされることが多く、カビの発生や乾燥による品質低下を防ぐ効果を期待できます。急激な温度変化に弱いチョコレートなどの菓子類や、ワイン、日本酒といった飲料の保管に選ばれる傾向にあります。適度な冷暗所環境を維持することで、デリケートな食品の風味を長く保つことが可能です。

【関連記事】定温倉庫の温度帯とは?常温や冷蔵との違いと選び方を徹底解説します|千里運輸オウンドメディア

冷蔵倉庫の保管温度と対象食品

冷蔵倉庫は、室内の温度を10度以下に維持するための専用設備を備えた倉庫です。主に肉や魚、野菜などの生鮮食品や、チーズなどの乳製品を保管するために利用されます。これらの食品は常温で放置すると短時間で傷んでしまうため、冷蔵環境で鮮度を維持することが重要です。倉庫内でも商品の特性に合わせて細かく温度帯を区切る運用が行われることも珍しくありません。

冷凍倉庫の保管温度と対象食品

冷凍倉庫は、マイナス18度以下の極低温環境を作り出し、食品を長期間にわたって凍結保存する施設です。冷凍食品やアイスクリーム、冷凍の肉・魚介類などを扱う際に利用されています。国土交通省が定める基準等により、さらに低い温度帯であるマイナス20度以下やマイナス30度以下といった細分化された等級で管理されることもあります。これにより、食品の細胞を壊さずに高い品質を維持したまま保存することが可能です。

参考:国土交通省「倉庫業法施行規則温度帯改正」 

食品倉庫に求められる関連法規と設備基準

食品倉庫を運営するためには、施設の安全性や食品の衛生面を担保するための法律を遵守する必要があります。ここでは、倉庫業法と食品衛生法に基づく基準について解説します。

関連法規主な目的求められる対応の例
倉庫業法施設の安全性と保管品質の確保耐火性能、防犯設備、温度計の設置など
食品衛生法食品の安全確保と健康被害の防止HACCPに沿った衛生管理、営業許可の取得など

参考:国土交通省「営業倉庫の施設設備基準」

参考:食品衛生法の改正について|厚生労働省

倉庫業法に基づく施設設備基準

冷蔵倉庫や冷凍倉庫として営業するためには、倉庫業法で定められた施設設備基準を満たさなければなりません。具体的には、建物の耐火性能や防水性能を備えることに加え、庫内の温度を常時10度以下に保つための冷蔵設備が必要となります。さらに、庫内の温度を正確に把握するための温度計の設置や、従業員が誤って閉じ込められた際に外部へ知らせるための通報設備の導入が義務付けられています。これらの基準を満たすことで、安全な作業環境と安定した保管品質が保証されます。

食品衛生法とHACCPによる衛生管理

食品の取り扱いにおいては、国民の健康を保護する目的で制定された食品衛生法に従う必要があります。特に冷凍・冷蔵倉庫業を営む場合は、同法に基づく営業許可を取得しなければなりません。また、法令の改正によりHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が制度化されており、食品倉庫でも危害要因を分析し、適切な衛生管理計画を作成して実行することが求められています。厚生労働省の情報を参考にしながら、従業員の手洗いや設備の洗浄といった手順を明確にし、記録を残す運用が重要です。

参考:HACCPに基づく衛生管理|厚生労働省

H2:食品倉庫の運用をアウトソーシングする利点

食品倉庫の管理を自社で行うには大きな負担が伴うため、専門業者へ委託する企業が増えています。ここでは、アウトソーシングを利用することで得られる具体的な利点について説明します。

比較ポイント自社運用アウトソーシング(外部委託)
初期費用倉庫建設や設備導入に多額のコストがかかる設備投資が不要で、すぐに利用を開始できる
固定費保管量に関わらず人件費や施設維持費が発生する使った分だけの従量課金制を利用できることが多い
専門ノウハウ自社で一から人材を育成する必要があるプロの技術や最新設備をそのまま活用できる

初期費用およびランニングコストの削減

自社で食品倉庫を建設しようとすると、土地の取得から専用の冷却設備、セキュリティシステムの導入まで多額の初期費用が発生します。これを専門の物流会社に委託することで、大きな設備投資を回避し、事業の立ち上げを早めることが可能です。また、自社保有の場合は保管する荷物の量が少ない時期でも一定の固定費がかかりますが、委託であれば利用したスペースや作業量に応じた料金体系となることが多く、無駄なランニングコストを抑えやすくなります。

【関連記事】倉庫DXとは?メリット・課題・成功事例から分かる導入の進め方を徹底解説|千里運輸オウンドメディア

専門ノウハウによる品質保持とロスの低減

食品物流に特化した業者は、厳密な温度管理や賞味期限管理に関する豊富なノウハウを有しています。商品ごとに最適な環境を維持する技術があるため、温度変化による劣化やカビの発生といったトラブルを未然に防ぐことが可能です。さらに、先入れ先出しの徹底やシステム化された在庫管理により、期限切れによる廃棄ロスを削減する効果も期待できます。プロの知見を借りることで、消費者に対して常に高品質な商品を届ける体制が整います。

自社に最適な食品倉庫委託先の選び方

数ある食品倉庫の中から自社に合った委託先を選ぶためには、いくつかの評価基準を持っておくことが大切です。ここでは、選定の際に確認すべきポイントについて解説します。

確認するポイント評価基準の例
温度帯と設備自社商品に適した温度帯があるか、衛生管理基準を満たしているか
立地と配送網主要な納品先へのアクセスが良いか、配送料金を抑えられるか
委託可能な業務保管だけでなく、梱包や流通加工、EC対応などの付帯業務が可能か

商品に適した温度帯と設備の確認

委託先を探す際は、自社が取り扱う食品の保管条件に合致する設備があるかを最初に確認します。例えば、冷蔵や冷凍が必要な商品であれば、指定した温度帯を24時間体制で監視できるシステムが整っているかが重要なポイントです。また、万が一の停電や設備故障に対するバックアップ体制が用意されているかも確認しておくべき項目となります。事前に倉庫の見学を行い、清掃が行き届いているかといった衛生面の実態を把握しておくこともおすすめの手段です。

配送拠点としての立地と輸配送ネットワーク

倉庫の立地は、納品先までのリードタイムや配送コストに直接影響を与えます。消費地に近い都市部に倉庫を構えれば、迅速な配送が可能となり、顧客満足度の向上につながるでしょう。一方で、郊外の倉庫は保管費用が安価に設定されていることが多いため、コストとスピードのバランスを見極めることが大事です。さらに、委託先が独自の配送ネットワークを持っているか、複数の温度帯を混載して運べるトラックを手配できるかといった輸送面での強みも評価の対象となります。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 食品倉庫は保管する商品に合わせて常温、定温、冷蔵、冷凍の温度帯に分かれています。
  • 運営には倉庫業法や食品衛生法(HACCPなど)の基準を満たす設備と管理体制が求められます。
  • 外部委託を活用することで設備投資を抑え、専門ノウハウによる品質向上やロス削減が見込めます。
  • 委託先を選ぶ際は自社商品に適した温度設備や立地、配送ネットワークの確認が重要です。

自社の取扱商品や事業計画に合った最適な倉庫環境を構築し、安心安全な食品物流の実現につなげていきましょう。

食品の保管スペース不足や、日々の出荷業務の負担にお悩みではありませんか。千里運輸の倉庫サービスは、常温食品の保管や確実な在庫管理に対応しております。高度なシステムにより、ケース・ピース単位での迅速な出荷も可能です。経験豊富なスタッフが緊密に連携し、大切な商品を最適な状態でお届けいたします。物流業務の負担を減らしたい方は、ぜひ当社のサービス詳細をご確認ください。

倉庫|千里運輸オウンドメディア


この記事を書いた人

アバター画像

千里運輸マーケティング戦略推進室

千里運輸グループでは、「流通・加工」「⼈材派遣」「倉庫」「輸送」に関する各種情報を発信し、物流業界に関わる皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしています。