製造業や物流業の現場では、外部人材として労働者の派遣を利用している企業は多く存在しています。労働人口が減少していく中、人材不足の問題は、これからも重くのしかかる大きな問題点でもあります。
派遣労働者を使うことで生じる問題点を抱えていたり、このまま使い続けることの限界を感じている企業もあろうかと思います。このコラムでは外部人材(アウトソーシング)や派遣を使い続けるための心構えや、現状を打破するための施策と、その手段を紹介します。
目次
派遣を使い続けると起きる2つのコスト問題

労働者派遣を利用することで生じるのは派遣料ですが、単に目に見える料金だけがコストとは限りません。ここでは、目に見えないコストや負担とは何なのかを説明します。
スタッフが入れ替わるたびに採用・教育コストが繰り返し発生する
人材派遣を利用する際、企業がまず考えるのは「派遣料金」ではないでしょうか。
しかし、派遣社員を受け入れることで発生するコストは、派遣会社へ支払う料金だけではありません。特に、派遣社員の入れ替わりが発生した場合には、派遣料金には表れない社内の労力や時間が発生します。
派遣社員の採用・雇用契約は派遣元が行うため、派遣先企業が直接採用する場合とは異なり、実際に働いてもらうまで適性や職場との相性を完全に把握することは難しいものです。実際に就業してみたものの、「仕事内容が自分に合わなかった」「職場環境が想像と違った」などの理由から、早期に離職や契約終了となるケースもあります。
また、派遣社員は有期契約となるケースも多く、契約期間が定められていることから、長期的にその職場で経験を積みながら仕事を覚えていく、という意識につながりにくい場合もあるでしょう。
もちろん、派遣には必要な時期に必要な人材を確保できるという大きなメリットがあります。しかし、入れ替わりが頻繁に発生する現場では、そのたびに派遣先企業側にも一定の負担が発生するのです。
例えば、新たな派遣社員を受け入れる際には、次のような対応が必要になります。
- 派遣契約書等の書面確認や社内手続き
- 社内規定や安全ルールの教育
- 現場のルールや注意事項の説明
- 実際の作業手順の教育
- 作業に習熟するまでの教育担当者の配置
- 習熟期間中の作業フォローや品質確認
つまり、新しい派遣社員が入るたびに、現場の担当者だけでなく、総務・人事などの管理部門にも一定の業務が発生します。
特に見落とされやすいのが、「教育する側の人件費」です。
そして、せっかく仕事を覚えてもらった人材が退職・契約終了となれば、また新しい人材を受け入れ、同じ教育を繰り返すことになってしまいます。
派遣料金だけを比較していると、このような「見えないコスト」には気付きにくいものです。
シフト管理・指示出し・教育が現場担当者の工数を圧迫する
派遣社員が実際に現場で働き始めた後も、派遣先企業の社員が行う管理業務があります。
例えば、日々のシフト管理や勤務状況の確認、作業の指示出し、進捗確認、作業上の注意や改善指示などです。
派遣社員が複数名いる現場では、「今日は誰が出勤するのか」「どの作業に何人配置するのか」といった人員配置を毎日のように考える必要があります。
また、現場では作業の進み具合に応じて、「こちらの作業を先にお願いします」「この作業は注意してください」といった具体的な指示を出すことも必要です。
こうした業務は、派遣会社へ支払う料金の中に「派遣先社員が行う管理業務の時間」として明確に計上されているわけではありません。
つまり、派遣社員を活用することで、派遣先企業の社員が本来の業務に加えて、シフト管理・指示出し・教育・フォローといった管理業務を継続的に担っている、ということです。
そして、派遣社員が退職や契約終了となれば、新しい人材を受け入れ、社内規定や安全教育、現場ルールの説明、作業教育など最初から再度行う必要があります。
せっかく現場に慣れてきた人材が入れ替われば、教育する側の社員にも再び時間が必要となり、その間は新しい人材の習熟を待ちながら現場を運営しなければなりません。
このように考えると、人材派遣を利用する際の実質的なコストは、
「派遣料金」+「シフト管理・指示出し・教育・フォローにかかる社内工数」+「入れ替わりに伴う受け入れ・教育コスト」
と考えることができます。
もちろん、人材派遣には必要な時期に必要な人材を確保できる、という大きなメリットがあります。そのため、すべての現場で派遣が適さないということではありません。一方で、長期間にわたって一定の業務を派遣社員に任せており、派遣社員の管理や教育を自社社員が継続的に行っているのであれば、一度「派遣によって人材を確保する」という方法そのものを見直してみる価値があるでしょう。
派遣スタッフが定着しない現場に共通する原因

派遣社員を活用する企業にとって、「人がなかなか定着しない」という悩みは珍しくありません。ここでは、派遣会社の選択や運用法によって改善できる部分、定着しない場合はどんな問題が発生しているか、という点を解説します。H3:1. 派遣会社の選び方・運用方法で改善できるケース
せっかく仕事を覚えてもらったと思った矢先に退職や契約終了となれば、また新しい人材を受け入れ、社内ルールや安全教育、作業手順を一から教え直さなければなりません。
しかし、定着率が低いからといって、すぐに「派遣だから仕方がない」と考えてしまうと、解決出来る問題も見過ごしてしまうかもしれません。まずは、なぜ定着しないのか、その原因を整理することが重要です。
例えば、派遣会社から紹介される人材と実際の職場との間にミスマッチが起きている場合、派遣会社との情報共有やコミュニケーションを改善することで、定着率を高められる可能性があります。
【派遣会社との連携を見直すことで改善できるケースも】
派遣会社に「倉庫作業」「簡単な軽作業」とだけ伝えて人材を依頼しても、実際の職場がどのような環境なのか、どの程度の体力が必要なのか、作業にはどのような特徴があるのかまで十分に伝わっていなければ、入社後にミスマッチが起こる可能性があります。
派遣会社に正確に伝えることで、より職場に適した人材とのマッチングにつながります。
また、派遣会社を選ぶ際には、単純に「何人集められるか」「派遣料金がいくらか」だけではなく、スタッフの定着率や就業後のフォロー体制も重要な選定基準になります。
就業後に派遣会社の担当者が定期的にスタッフの状況を確認し、仕事上の不満や悩みを早期に把握してくれる会社であれば、問題が大きくなる前に対応できる可能性があります。
【受け入れ側の対応も定着率を左右する】
派遣社員の定着は、派遣会社だけの問題ではありません。
派遣先企業側の受け入れ方も、定着に大きく影響します。
特に初日は、会社のルール、安全面での注意事項、仕事の進め方などを丁寧に説明し、「何をすればよいのか分からない」という状態を作らないことが大切です。
また、初日だけで教育を終わらせるのではなく、実際に作業を始めた後も、一定期間は現場社員が様子を確認し、分からないことがないか、困っていることがないかを確認することも重要です。
派遣では解決できない構造的な問題の見極め方
ここまでの対策を行っても、派遣社員の入れ替わりが繰り返される場合は、別の視点から考える必要があります。それは、問題の原因が「派遣会社」ではなく、派遣では解決出来ない構造的な問題になっている場合です。例として、以下のようなパターンが考えられます。
【繁忙期・閑散期の波動が大きい】
物流現場では、季節商品やキャンペーン、年末年始などによって、必要な人員が大きく変動することがあります。そのたびに派遣社員を増員・減員し、自社でシフトを組み直して人員配置を調整している場合、派遣会社を変えたとしても、この管理業務そのものがなくなるわけではありません。
【作業の種類が多く、新人教育の負担が慢性化している】
一つの現場で複数の作業を扱っている場合、新しく入った派遣社員に対して、それぞれの作業手順を教える必要があります。作業内容が多ければ多いほど教育には時間がかかり、さらに人が入れ替わるたびに教育を繰り返すことになります。
「新人が入るたびに、現場のベテラン社員が教育担当になる」という状態が慢性化しているのであれば、それは単なる人材不足ではなく、現場運営の仕組みそのものを見直すサインかもしれません。
【現場担当者がスタッフ管理に追われている】
派遣社員の人数が増えるほど、現場担当者にはシフト調整、出勤確認、作業指示、教育、フォロー、作業品質の確認など、さまざまな管理業務が発生します。
本来であれば、生産性向上や業務改善、品質管理などのコア業務に時間を使いたい現場責任者が、スタッフの管理に多くの時間を取られているのであれば、「人を増やすことで解決する」という方法が、かえって現場管理の負担を増やしている可能性があります。
【派遣料金の上昇が続き、コスト構造の見直しが必要になっている】
人件費の上昇などによって派遣料金が上昇していけば、単純に派遣人数を増やすだけではコストが膨らんでしまいます。さらに、派遣料金だけではなく、前項で説明したようなシフト管理、指示出し、教育、フォローなどの社内工数も考慮すると、実際にその業務を維持するためのコストはさらに大きくなります。
【複数の問題が当てはまるなら「業務を任せる」という選択肢】
ここまで挙げた問題のうち、一つだけではなく複数が当てはまる場合は、派遣会社を変えるだけでは根本的な改善が難しい可能性があります。「もっと良い派遣会社を探す」という視点だけではなく、人材の確保方法そのものを見直すタイミングと考えることができます。
そこで選択肢となるのが、業務請負です。
派遣は基本的に、企業が必要な「人」を確保し、その人材を自社で管理しながら業務を行う仕組みです。一方、業務請負は、業務の範囲や成果を明確にしたうえで、「人」ではなく「業務そのもの」を請負会社に任せるという考え方です。
派遣から業務請負への切り替えを検討すべき判断基準

長期間にわたって同じ業務を行っており、現場社員が派遣社員のシフト管理や日々の指示、教育、フォローまで継続して行っているのであれば、「人を確保する」のではなく「業務そのものを任せる」という方法を検討する余地があります。
その選択肢の一つが、業務請負です。
業務請負では、一定の業務範囲を明確にしたうえで、請負会社側が人員配置や業務管理を行います。
もちろん、すべての業務が請負に適しているわけではありません。しかし、
- 派遣スタッフの平均在籍期間が3ヶ月未満である
- 現場担当者の業務時間の3割以上が派遣スタッフの管理・教育に使われている
- 繁忙期のたびに人員確保・シフト調整に追われ本来業務が後回しになっている
- 派遣料金が過去2〜3年で上昇しており、コスト見直しの必要を感じている
同じ工程に複数名の派遣スタッフが常時入っている
これらの項目のうち、一つでも当てはまれば検討する価値があり、三つ以上当てはまるのであれば、業務請負への切り替えが解決策になる場合があります。
大切なのは、「派遣が悪い」と決めつけることではありません。まずは派遣会社との連携や受け入れ体制を改善し、それでも問題が解決しない場合には、「人材を補充する方法」から「業務を安定して運営する方法」へ視点を変えてみることが重要です。
千里運輸グループ(アンティ)の業務請負対応について
ここまで見てきたように、派遣スタッフの活用には「管理負担」「採用・教育コスト」「人員調整」といった課題が伴います。これらの課題を根本から解消する有効な選択肢の一つが「業務請負」への切り替えです。ここでは解決策の一例として、千里運輸グループ(アンティ)の取り組みをご紹介します。
同社の請負サービスでは現場管理者が常駐配置されるため、自社社員は日々のシフト管理や指示出しの負担から解放されます。また、スタッフの採用から定着・教育まですべて請負会社の責任範囲となるため、人の入れ替わりのたびに発生していた採用・教育コストのループを断ち切ることが可能です。さらに、人材部門との連携による高い増員対応力を備えており、繁忙期の人員調整に頭を悩ませることもありません。
千里運輸グループは、流通加工や倉庫内作業の請負において40年以上の実績を持ち、大阪と愛知の2拠点体制で関西・東海エリアの荷主企業をサポートしています。物流現場の負担軽減と安定稼働を目指す上で、このような専門ノウハウを持つ企業の活用は、検討すべき有力な選択肢となるでしょう。
まとめ

すべての業務を請負に切り替えればよいというわけではありません。業務の内容や指揮命令の関係、必要な管理体制などを確認し、請負に適した業務なのかを判断する必要があります。
しかし、派遣社員の確保・管理・教育に自社の社員が多くの時間を費やしているのであれば、
「人を増やして対応する」から「業務ごと任せる」という発想に切り替えることで、現場の管理負担や人員調整のあり方そのものを変えられる可能性があります。
派遣会社を変えるべきなのか、それとも人材活用の仕組みそのものを変えるべきなのか。
この見極めが、派遣から業務請負への切り替えを検討するうえで重要なポイントになるでしょう。
アンティでは派遣サービスは勿論ですが、業務請負サービスを重きに置いた人材会社です。人材投入から業務サービスまで一貫して対応しております。一方、外部での請負サービスも大阪と名古屋にの自社倉庫にて作業を承っておりますので、是非一度ご相談ください。
